COPYRIGHT © SONICJAM ALL RIGHTS RESERVED.
2015
5
NOV
CATEGORY:
大概月刊中国的新闻
「北京デザインウィーク」から中国のデザイン事情を知る

你好!SONICJAM上海がお届けする「大概月刊中国的新闻(ほぼ月刊 中国ニュース)」第2回は、9月23日から10月7日まで開催された「北京デザインウィーク(北京国際設計週)」をレポートします。 2009年から始まったこのデザインの祭典は、国内外から2000人超のデザイナーや関係団体などが一堂に会する、アジアを代表するデザインイベントの1つとなっています。会期中は著名デザイナーを招いて開かれる講演会「設計之夜」や、優れた作品に贈られるデザイン大賞などのイベントも催されました。



アップルファンたちの熱気で溢れるメイン会場


chi002_01.jpg

メイン会場では「アップルデザインの軌跡」を開催。



まずは北京中心部の北側、雍和宮エリアにあるメイン会場の1つ、歌華ビルに足を運びました。こちらはデザイン会社やIT企業などを集めたクリエイティブビルで、イベントスペースではメイン展示の1つ、「アップルデザインの軌跡(蘋果設計之弧)」が開催されていました。


中に足を踏み入れるとズラリとアップル製品が陳列され、多くの若者たちがその光景を写真に収めていました。壁に貼られたパネルでは、スティーブ・ジョブズとスティーブ・ウォズニアックがアップル社を立ち上げ、現在のアップルへと発展する足跡が説明されています。


1978年に発売されたApple IIから1998年に発売され大ヒットとなったiMac、その横には初代のiPhoneからiPhone 6まで並べられ、その進化が一目でわかるように陳列されていました。


中国には日本以上にアップルファンが多く若者の起業ブームはまだまだ健在。起業を目指す若者にとってスティーブ・ジョブズは永遠の憧れです。会場にはそんなアップルファンたちの熱気がみなぎっていました。さらに1階のフロアの中心には宋老という芸術家のリンゴをモチーフにした多くの作品が飾られていました。これもアップルとスティーブ・ジョブスへの敬意を表しているのでしょう。



chi002_02.jpg

歴代のアップルコンピューターを熱心に眺めるファンたち。



chi002_03.jpg

1978年発売のApple II。



chi002_04.jpg

宋老氏のリンゴをモチーフにした作品。



子供たちと紙飛行機を折って飛ばすイベントに参加


さて、メイン会場を出ると、このあたりは雍和宮エリアと呼ばれる胡同(フートン)が密集する地域です。胡同とは北京で旧城内を中心に点在する細い路地のこと。こちらでは地元の住民がラーメンをすすったり、将棋を打つ姿が見られます。胡同を通りぬけると、そこでは駐車場スペースでイベントが開かれていました。


中に入ると各テントではアート系の小物が売られています。中央のスペースには人だかりができ、アーティストの歌に合わせて皆で折り紙で作った紙飛行機を飛ばすというイベントが行なわれていました。歌手の「3、2、1!」の歌声に合わせて、大人から子供まで一斉に紙飛行機を飛ばします。ちょっとほのぼのとした光景でした。



chi002_05.jpg

地元の子供たちと紙飛行機を折って飛ばします。



北京で見つけた日本のデザイナーとの意外なつながり


こちらの会場を後にして、地下鉄も開通し最近改めて注目を浴びている観光スポット、南鑼鼓巷に行きました。こちらは元代に整備が始まり約740年の歴史を持つエリア。昔ながらの伝統建築、四合院造りの家をリノベーションしカフェや雑貨屋、ギャラリーが立ち並び、デザイン系の会社も多く入居しています。ここを訪れたのは「スイスの最も美しい本(瑞士最美書)」という企画を見るためです。会場は「敬人紙語」というデザイン会社で事務所の横にギャラリーが併設されていて、スイスのブックデザイン賞を受賞した書籍、ポスターの展示が行なわれています。


スタッフに声をかけると、広報担当の熊海卉さんがギャラリーを案内してくれました。会場には装丁の美しいスイスの書籍が所狭しと並べられ、訪れた人は手に取ってじっくりと本を眺めています。この「敬人紙語」では約800種類もの紙を取り揃え出版社などへの紙の販売のほか、紙を使ったオリジナル商品の開発なども行なっています。隣に併設された工房では色々な材質の紙を使った商品の展示・販売もしています。


広報の熊さんいわく、「北京ではデザイナー志望の若者は年々増えており、私たちの会社でも年に2回、山口信博さんなど日本からも著名なデザイナーを講師に招いてデザイン講座を開いています。私たちは和紙も扱っているのですが、これも日本の70歳を越えた職人さんを招いて作り方を教わったんですよ」と、日本との深い関わりを教えてくれました。「敬人紙語」のスタッフは20代から30代前半の若手が中心ですが、彼らからはデザインへの愛情がヒシヒシと感じられました。



chi002_06.jpg

「スイスの最も美しい本(瑞士最美書)」の展示。



chi002_07.jpg

会場では子供向けの本作り体験教室も開かれた。



chi002_08.jpg

「敬人紙語」には800種類の紙見本が置かれている。



chi002_09.jpg

「敬人紙語」の熊海卉(左)とスタッフ。


※「敬人紙語」サイト



多くのギャラリーが集まる"北京のソーホー"「798芸術区」へ


chi002_10.jpg

翌日は北京中心部の東にある「798芸術区」を訪れました。ここはかつての工場跡地を利用し、ギャラリーやアーティスト、カメラマンなどのスタジオが集中する "北京のソーホー"といえるエリアです。メインストリートに足を踏み入れると、道脇にはいくつもの彫像が飾られています。突き当りにはデザインウィークの特設ブースも設置されていました。ここではデザイン関係者を集めた「設計之夜」などのシンポジウムが開かれ、デザインウィークに合わせた特別展も開催されています。油絵画家の王志氏の個展も覗いてみました。



chi002_1112.jpg

(左)ちょっと謎なオブジェも陳列されている。
(右)ポップで現代アート風のオブジェも。



chi002_13.jpg

油絵画家・王志氏の個展「陌地森林」。



カメラマンの撮影スタジオを見学させてもらいました


さて、こちらを訪れたのは午前中だったせいか、ランニングをする人以外あまり人影がありません。そこに、前から背の高いモデル風の女性が歩いてくるのを発見。声をかけると「これからスタジオでカメラマンに撮影してもらうの」と言うではありませんか。そこで彼女にお願いしてスタジオにお邪魔することにしました。スタジオ「唧唧喳喳照相館」ではカメラマンの張亜鵬さんが機材のセッティングをしていました。


張さんはNIKEやコカコーラなどの広告写真も手掛ける30代の若手カメラマンです。「こちらのスタジオは友人のカメラマンと共同で借りています。僕は広告や雑誌の撮影がメインだけど、週末で時間があるときは、一般のモデルの撮影もしています」


張さんはスタジオを構えて10年近くになるそうですが、「北京でもカメラマンを目指す人は本当に多いね。この『798芸術区』にも数え切れないほどのカメラマンがいるけど、僕たちみたいに長く同じ場所にスタジオを構えてやっていけるのはほんの一握りだね」と、その競争の厳しさを教えてくれました。



chi002_14.jpg

広告写真も手掛ける張亜鵬さん。



古い文化に新しいデザインを融合させる北京の「温故知新」


北京デザインウィークのメイン会場を巡ってみると、どこもかつての胡同、古い工場跡地を再生しています。2008年に北京オリンピックが開催される際には多くの胡同が取り壊され、それを惜しむ声が聞かれました。しかしその波をくぐり抜けて人びとは胡同の価値を再認識し、新しいデザインと融合させることで胡同を蘇らせました。


今回宿泊したホテル「北京途家斯維登度假酒店」もメイン会場となる雍和宮エリアに拡がる胡同の中にあります。かつての富豪の屋敷を改修し、ホテルとして甦らせました。真っ赤な廊下にはランタンが飾られ、室内も古き北京の雰囲気を味わえる内装となっています。このエリアも多くの若者たちがカフェやレストランなどを開き、観光名所となりました。


このホテルの横には若い女性が2人でやっている中国茶カフェ「観品」があります。店内は木目を生かしたシンプルなデザインで気持ちの良い空間です。冷たいウーロン茶を飲みながら話を聞くと、彼女たちもこの胡同に魅せられ、店を構えてすでに2年になるといいます。



chi002_15.jpg

かつての邸宅をホテルに改築している。



chi002_16.jpg

店内は木目を生かしたシンプルな「観品」。


※中国茶カフェ「観品」
・北京市東城区五道営胡同15号
・営業時間 13:30~21:30



上海人の気質を、よく「海派文化(ハイパイウェンフア)」といいます。これは海に近く、フランスやイギリス租界の影響で外国の文化に親しみ、新しいもの好きな上海人の気質を現わしています。それに対し、北京の気質は「温故知新」と言えるでしょう。中国の首都として多くの歴史的建造物や胡同が残り、そこで北京の人々の文化が熟成されてきました。それを生かしつつ新しいデザインを融合させ、さらなる価値を生み出しいく。それが北京の懐の深さなのだと、2杯目のウーロン茶を飲みながら感じたのでした。

それでは再见!



※「北京デザインウィーク(北京国際設計週)」
中国語サイト
英語サイト

CATEGORY

×
CATEGORY
COPYRIGHT © SONICJAM ALL RIGHTS RESERVED.