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2015
19
NOV
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各部署からのお知らせ
"MASS"レポート最終編:淺井裕介 泥絵

芸術の秋、いかがお過ごしでしょうか。
毎週末各地でたくさんのアートイベントが開催され、足を運ばれた方も多いのではないかと思います。

実はSONICJAMにも、1階のラウンジに大きなアート作品がお目見えしました。
見てくださいこの一面の迫力!

実はこれ、白壁に直接泥で描いてあるんです。
MASSプロジェクトでお招きした作家、淺井裕介さんの「泥絵」。今年の夏からSONICJAMで開催されていた、淺井さんの公開制作の集大成です。
淺井さんが世界各地で収集してきた土と、弊社の庭で採取した土、社員が各々持ってきた土(富山の実家の庭から送ってもらっている社員もいました!)が融合し、1つの大きな絵ができました。

第1弾で制作したマスキングテープの植物「マスキングプラント」も収穫し、それも取り込んでの大掛かりな制作でしたが、実は制作日数はたったの4日間!
真っ白だった壁がどのように変貌を遂げて行ったのか、淺井さんのインタビューとともにご紹介します。



アーティストという職業は、瞬間的に風を巻き起こす台風のような仕事。それを会社に持ち込む試みが、とても新鮮だった。



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ー壁の前で仕事をしていると、とてつもないエネルギーを感じます。壁一面の絵のパワーってすごいですね。


単純に、その場でものが作られている時って、エネルギーが放出されていると思う。料理だってそうだし、例えば小さい子どもって体が活発に作られているから、いるだけでブワッてエネルギーを感じる。そういう意味でも、やっぱり、会社の中で絵を描くっていう試みはすごくいいと思っています。
あとは僕がいなくなったあと、エネルギーがどこまで持続するかが勝負。

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僕は、作品を見るのは作家のアトリエが一番贅沢だと思っているんです。美術館に行ったり展覧会行くのももちろんおすすめですけど、作品が作られた場所に行って見るのって特別ですよね。エネルギーもそうだし、そこにはアーティスト本人が普段見ている景色がある。野菜とかもそうだよね。畑で採れたものが一番うまい。だから、ある意味では、一瞬ここがアトリエになったというか。

ー淺井さんは商店街や小学校などで過去に制作されていましたが、会社での制作は珍しいケースなのでは?


そうですね、やってみたらすっごく良かったです。もっとやりたい。

こういう試みをする会社が増えたら、最高に楽しい国になるんだろうなって思うけど。会社の福利厚生の制度として、アーティストが来て絵を描くって、あってもいいですよね。
僕らアーティストは、根無し草というか、台風みたいな職業なんです。瞬間的にすごくいろんなことを感じ取って、あるいは考え抜いて放出していく、瞬間最大風力のような仕事だと思っているんですけど、そういう仕事の仕方は社内の人にとっても新鮮だと思うし。

mass_16.JPG▲描いては、離れて見て、考えて

mass_19.JPG▲また描き始めて、離れて見て、考えて、を繰り返す。

あと、朝10時にみんなと一緒に来て、一緒に終わっていくのも楽しかった。
「じゃこれから描きましょう」って、人がいない夜の間に描くこともあるんですが、完全に今回は活動時間が同じだったじゃないですか。満員電車に乗って来て、だんだん掃除のおばちゃんと仲良くなったり、会社の使い方を教えてもらって、自分でコーヒー入れられるようになったりしながら制作できたっていうのは、「アーティストと会社員」という関係性から一歩踏み込んだ空気感を自然と作り出せたので、面白い試みだったなと思います。

mass_04.jpg ▲ラウンジにいたPepperくんと会話を試みる淺井さん。「話がかみ合わない...」

mass_05.jpg▲収穫したマスキングプラントの端っこで、おめかししてもらいました。かっこいいよPepperくん!



みんなに開かれた作品



ー前回のマスキングプラントの時もそうでしたが、会社のメンバーに作品に入ってもらったのはいかがでした?

MASSの第1回目ということもあり、ただ作家の人が来て、描いて、去っていったということにはしたくなかったので、自分以外の人の手が作品に入っていく形にしました。
どれだけみんなの仕事が忙しいかは僕には分からなかったから、ちょっと心配はしていたんですけど。とはいえ物が生まれたり作られたりが頻繁に起こる場所にいる人たちだから、どんな無茶ぶりをしてもやってくれるかなとは思っていました。

でも、全員に参加してもらう必要はないんです。
たとえ参加できなくても、作家やアシスタントといった「特殊な訓練を受けた人たちが作った作品」として受け取る見方と、「参加しようと思えば参加できる作品」として受け取る見方とでは、それぞれで感じることが違うと思うので。

mass_23.JPG▲制作も大詰めを迎えたころ、筆者も手形で参加!手に泥を塗ってもらって、壁にぺたり。

mass_24.JPG▲手から生まれた様々な動物が、ぞくぞくと仲間入り。

ー泥絵に使う土も、結構集まりましたもんね。

そうだね、みんなが持ってきてくれたものから、新たに5~6色できました。
土を掘ったり触ったり、色を体感することっていうのは、なかなか普段の生活でないと思うんですね。でも大昔は、靴とか履いてたわけではないし、土に触れて生活しているというのは割と自然な状況だったから、土が嫌いっていう人はあんまりいなくて。
「手が汚れる」とか言うものの、実際触ってみるとすごく気持ちいい。そういう太古の記憶みたいなものは、きっとみんなの中に共通してあるんだろうなと、土で描くという話をしたときに返ってくる反応で感じました。

mass_09.JPG▲淺井さんが国内外のいろいろな場所で取ってきた土も合わせると、こんなにたくさんの種類に!ちなみに、絵の中でよく使われているオレンジ色の土は、ソウルの土だそう。

mass_10.JPG ▲「朴さんはシャベルも持たずに外に出て行って、土を持って帰ってきたけど、素手で掘ったのかなぁ。」朴さんワイルド説?銀杏並木の土は焦げ茶色。

mass_22.JPG ▲使った土は、シャーレに収めて、ラウンジの机で展示中。

ーSONICJAMの土は、またいつかどこかで描く作品にも使われるんですか?

もちろん使います。あと、描いて削って床に落ちた土も、実は掃き掃除して集めていて、それもブレンド土"ソニックジャムブレンド"として使います。
結構あるの。箱根ブレンドとか、現代美術館ブレンドとか。それぞれ微妙に違いますね。

mass_11.JPG▲泥絵は一切絵の具を使わず、土の色のみで描きます。絶妙な書き分けをするための、色見本。



終わったら、絵は消してしまう。それは、一番良くできたものを持っていると、もうそこから先には進めないから。



ーいままでの淺井さんの展示では、会期後きれいさっぱり作品を消してしまっています。これも消えてしまうのが名残惜しいですが...

例えばパネルを持ってきて壁を作って、外に持ち出せるようにするのと、もともとそこにあった壁に描くのって全然違うんですね。持ち出せないものに描くというのはすごく特別感があって、タトゥーシールとタトゥーくらい違う。その場にきてその場で描くことで、ダイレクトに気持ちが伝わると思っています。

でも最近は逆に残すという考え方が、自分のなかですごく新鮮になってきています。他の人にすれば「消す」っていうのはもったいないだろうけど、僕はずっと消してきてたから、残してみることに興味が湧いてきていて。今回小さいパネルが壁に1個ついているんだけど、あれだけは残そうかなと思っています。破片としてのパネルが、でっかい記憶を保管するというか。

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もの作る人たちはみんな感じていると思うけど、本気で一生懸命作って、一番良くできたものをずっと持っていると、そこから先になかなか行けないんです。
でも成果が消えてしまったら、それ以上のものを作らざるを得ない。次作ったものがそれ以下だと、自分の評価自体も下がってきちゃうから、そういう意味では、消すからこそ生まれてくるものがあると思えば、消すのもまた良しかなと。
頭じゃあんまり理解できないんだけど、やってみるといつもいいなって思う。すんごい悲しんだけどね。

ー社内で伸びていたマスキングプラントも、ほぼ収穫してしまいましたもんね。

そうですね。今回、マスキングプラントを解体・再構成するところから始めましたが、それがお互いに丁度いい準備運動になったと思っています。あ、また来てるんだな、とか、あれ無くなっちゃうんだなって。僕もそれを剥がしながら、この時こういうことしたな、とか、あの人髪型変わったな、とか色々思いながら手を動かしていました。

mass_02.jpg▲形を壊さないように、そっと収穫

mass_03.jpg▲収穫したパーツを使って、新しい絵に再構成していきます。

ー最後に、今回の泥絵のテーマを教えてください。

丸いモチーフを多用していますが、それは、想像力の種のようなものが、"ぼこぼこぼこ"といっぱい生み出されて、弾けているようなイメージです。最初来た時に、SONICJAMの社内の雰囲気がすごいいいなと思ったんですね。開かれていて、それでいて集中できない感じじゃなくて。ちょっと相談に乗ってくれるような人もいるし。だから、「物が生み出される場所」というのは意識して作っていきました。

あとは、見るたびに新しい発見のある絵にしたかったので、遠くで眺めるのと近くでじっくり見るのとでは、違う見え方になるようにしています。近くで見ると、実はいろいろな生き物が隠れているので、お気に入りの場所を見つけてください。

※作品はSONICJAMの来客者さまにのみ限定公開しており、一般公開はしておりません。ご了承ください。

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