三枝匡さんの経営戦略3部作

経営に関する類の本はこれまで勉強のためにいろいろと読み漁りましたが、最近ひさびさに印象的だったのが、三枝匡さんの3部作です。ビジネス書でありながら、実話を元にした小説という珍しいスタイルで、池井戸潤の小説よりスリリングで楽しく読める。

ところで企業の戦略には3種類あって、
 ・営業戦略 – 商品分析、ターゲティング、価格戦略、営業戦術
 ・商品戦略 – 市場価値の高い商品やサービスを生み出すフレームワーク
 ・組織戦略 – 機能的・効率的な組織の編成と運営
それぞれが連動して作用し合うのが理想的な形です。

この3部作はそれぞれのフォーカスした内容になっているので、3冊全部読むことに意味があります。

> 戦略プロフェッショナル ― シェア逆転の企業変革ドラマ


医療機器の輸入販売事業をモデルにしたストーリー。まずは、全社の中でどの事業部がポイントになるかの見極め。業績、マーケット、競合を分析し、商品のライフサイクルから強み・競争力を測る。価格戦略、営業戦術を描くにはクリエイティブなアイデアが必要。あとはそれを実行する営業の現場オペレーション。

> 経営パワーの危機 ― 会社再建の企業変革ドラマ


メーカーをモデルにしたストーリー。まずは基本に立ち返って開発・販売・生産の問題点を洗い出しと改善で赤字を止める。そして次の成長につながる商品を生み出す。そのためには開発戦略のフレームワークがすごく重要で、カンやノリで突き進むのは自殺行為。あとはリーダーが信じてやり切ること。

> V字回復の経営 ― 2年で会社を変えられますか


大企業の一事業部をモデルにしたストーリー。危機感がなく硬直した組織をいかに立て直すか。リーダーを育成し、コンセプトを共有し、組織を刷新し、士気を高め、実行すること。長く大変な道のり。

なんとなく今まで、経営者はその事業のプロでなくてはならない(例えば車メーカーのリーダーだったら車の専門家でなければならない)と思っていましたが、これらを読んで思ったのは、その事業に素人でも経営の方法論を持っていれば「プロの経営者」になれるのだな、ということ。実際三枝さんはそういう理論と実践の人なんだろうな。ところで自分は今どの程度のレベルに来てるのかな・・・。