ビジネスパーソンのためのクリエイティブ入門 / 原野守弘

> ビジネスパーソンのためのクリエイティブ入門 / 原野守弘

原野さんと言えば、電通→ドリル→Party→もり と広告界のスター街道を歩いてこられたという印象が強い方。私自身、ドリル時代に何度かお仕事でもご一緒しました。当時の印象としては、クリエイティブ・ディレクターってこういうものなのか、というのを知ったというか、クライアントに言うべきことはビシっと言う(愛をもって)ことは大切なんだな、というのを学びました。

さてこの本は、タイトルに「ビジネスパーソンのための」とある通り、クリエイターに向けてのハウツー本ではないです。でも単なる技術論ではない分それが逆に、広告をつくる上での本質にフォーカスされているという、むしろクリエイター向けの本とも言えそうです。
特に自分として印象に残ったポイントはふたつ。

  ・自分自身についてではなく、自分が愛するものについて語る
  ・「わかりやすい」というのは罠

ほとんどの販促や広告は、自分自身についてできるだけわかりやすく語ろうとします。例えば、この機能を説明したい、性能をアピールしたい、素材の良さを知ってほしい、などなど。そしてグラフィックや映像やWebなどをつくっていく際に何度も「こっちのほうがわかりやすいんじゃない?」と問われます。
そうしてできたものは単なるカタログであり、人の心を打つものではありません。

そしてこれらは広告に限らず、基本的なコミュニケーションの問題なんだな、といつも思う。以前ブログで感情を語ることについて書いたが、人間的な魅力もそんなところにあるんじゃないか。共感を得るには、まず愛するもの(嫌いなものでもいいかもしれないけど、いじめや差別などネガティブな集団心理に陥る可能性があるので)を語ろう。