ひばりと真空管とタイムマシン

> AIでよみがえる美空ひばり
「最新のAI技術によって、美空ひばりを現代によみがえらせる」というバカげた(褒め言葉です)企画を大真面目に実現できるのはNHKしかないわけで、それについては素直に素晴らしい!と拍手を送りたいです。そして別に美空ひばりファンではない(ジャズのアルバムとか好きですよ)という私でも、十分に泣けてきました。それを「AIが人間を感動させた」というのはちょっと短絡的すぎるとは思いますが、秋元康氏の「AIというテクノロジーは技術が先行してくのではなくて、思いがあってその思いを具現化するために必要なもの」「科学というのは人間の夢とか願いとかで奇跡を起こすもの」というのは、AIのあり方について新たな可能性が感じられたように思いました。AIの価値はそれが正しいかどうかという正解率で決まるのではなく、それを人間がどれだけ望むかという思いによって決まる、という価値観というか倫理観。

ところで私は最近アナログレコードを真空管アンプで鳴らす、というのが大好きでして、その片鱗はこちらのブログにも書いてあったりしますが、

> 【わかる奴だけわかればいい】アナログカートリッジの比較
> 【わかる奴だけわかればいい】ortofon SPU カートリッジの比較

CDを現代のアンプで聴くとの何が違うのかと言うと、ざっくり言い切ってしまうと、よりリアルな音がします。音に厚みがあるというか、奥行きや深み、音の手触り感、今そこにあるような空気感があるのです。最新のゴージャスなシステムだと、ものすごくキレイな音だけれども、キラキラしすぎて現実的にあり得ない音という気がしてしまいます。(あくまで私見です。)私は「リアルな音」を求めて日夜オーディオの細かい調整を続けているのです。そして結果的にビンテージの機材が増えてきました・・・。

そうして音のリアリティが増してくると、ジャズのライブ盤などを聴いているときに一瞬レコーディングされたライブハウスの場にいるような錯覚に陥ることがあります。なんと、真空管アンプというのはタイムマシンだったのか!Bill Evansの「Waltz for Debby」が録音された場所に行けるタイムマシンがあったとしたら、いくら払いますかオーディオマニアそうして機材にお金をつぎこんでいくのです。(私の機材はたいした金額ではありません)

AIもビンテージのオーディオ機器も、夢を叶えるタイムマシンだったのですね。