Cover desgin by

Eiki Kurokawa

Developer

#002

Feb. 2019

Love is Brand

注いだ愛が、ブランドになる

01

Column

愛こそすべて。体温を感じるWebブランディング

  • 「この商品、美味しいのになかなか売れないんですよね。一度食べてもらったら絶対美味しさが分かってもらえるはずなのに…。」

    クライアントとの打ち合わせ中に、たまに聞こえるこんな声。

    企業目線でストレートに商品の良さを発信しても「どうせキレイゴトしか言ってないんでしょ」とスルーされてしまうこの時代に、コーポレートサイトやブランドサイトでは、どのように商品の良さを打ち出すべきなのでしょうか。

    キーワードは、「愛」

    弊社でブランディングのお手伝いをさせていただいている、宮城の缶詰メーカー「木の屋石巻水産」。以前、その主力商品である鯖の缶詰が、マツコ・デラックスさんが司会の某番組で取り上げられるということで、サイトがパンクしてはいけない!と慌ててサーバを増強して挑んだことがあります。

    放送直後から売り上げがぐんぐんと増えていき、我々はその現象を「マツコ効果」と呼ぶようになりました。

    タレントや芸人がひな壇を賑やかしているわけでもなく、マツコさんが一般人を相手に、1人で回している番組。(制作目線としては、「払うギャランティーが少なくてエコな番組だなぁ」なんて思ってしまいますが)それでも毎回取り上げた商品がヒットするということは、プレゼンターが作り手側の愛を情熱的に代弁し、マツコさんが忌憚のない意見をぶつけている、そのシンプルな作りこそ、情報に嘘がなく、魅力的に見えるプロモーションなのではないでしょうか。

    実例1 愛を語る。

    先ほどもご紹介した「木の屋石巻水産」のコーポレートサイトでは、社員の皆さんが商品や職場、「石巻」という土地に対して注いでいる「愛」を取材して、オウンドメディアの形で掲載しています。もちろん、サイトで使用しているコピーにも、随所にその愛を散りばめました。

    震災からの復活ストーリーがとかく取り上げられがちな木の屋さんでしたが、それ以前から「とにかく美味しい魚を全国にお届けしたい」と様々な工夫を凝らし、こだわりを持ったモノづくりをしている企業。商品にかける愛を伝えることこそ、美味しさの担保となると考えました。

    実際に現地に足を運んで取材した記事は、社員の明るい人柄だけでなく、隠れた苦悩、四季ごとの旬など、現地の空気を缶詰さながらそのまま詰めこんでいます。

    木の屋石巻水産木の屋石巻水産

    実例2 愛のバトンをつなぐ。

    鹿児島の知覧にあるお茶商店「お茶のはまだ」。Webからスタートして、パッケージまでトータルで関わらせていただきました。

    「ロゴやパッケージのリニューアルも私たちにやらせてください。」と頼み込んだのは、ヒアリングで鹿児島に何度か足を運ぶうちに、「知覧」という土地と、知覧茶に関わる方々の人柄やお茶にかける「愛」に惚れ込んでしまったから。

    Webサイトでは、お茶の商品特徴だけでなく、基本的な淹れ方講座や、誰かに話したくなるようなお茶の豆知識を掲載。様々なストーリーをユーザーと共有できる設計にすることで、お茶を購入する段階には、ちょっとしたお茶博士になっています。

    商品ごとに色分けした柔らかな印象のパッケージは、それぞれのお茶のパーソナリティーを表すとともに、「これ、あの人に贈ろう」とプレゼントにも利用しやすいデザインに。

    愛情を込めて作ったお茶が、買い手を経由してまた別の人の手に渡る(=正直な口コミ)で愛がどんどん広がっていく仕組みを作りました。

    お茶のはまだお茶のはまだ

    実例3 愛を態度で示す

    大戸屋といえば、実家で出てくるようなほっとするご飯を提供してくれる場所。気分が浮かない時、野菜を摂りたいけど、自分で料理するのは面倒だなぁ、と思っている時、大戸屋の定食こそ救世主。

    「大戸屋ごはん処」公式サイトのリニューアルでは、そんなお腹をすかせた全国の悩める人たちをターゲットに、メニューと店舗検索のUIを向上させました。

    大戸屋 ちゃんとごはん大戸屋 ちゃんとごはん

    メニューページには、カロリー表示や栄養表示を丁寧に。アレルギー表示も細かく記載しているから、安心して店舗に行くことができます。
    店舗検索では駐車場や禁煙、「朝食メニューあり」など利用シーンに合わせて検索しやすくしています。
    「あ、大戸屋行こうかな」と思った時に、食べたいものを見つけやすく、行きたい店舗を探しやすく。体験の質を向上させることを目指しました。

    企業のもう一つの財産ともいえる、これまで積み上げてきたストーリーをどう編集して魅せていくのか。ここに、ブランディングの楽しさがあるのではないでしょうか。

    お打ち合わせの際には、ぜひ愛を語ってください。それを編集し、ユーザーに届ける「愛の伝道師」となることが、私たちの願いです。

Writer
  1. AkikoNegishi

    Copywriter / Planner

03

Editors Note

もうすぐ平成も終わり。平成元年の4月30日に生まれた筆者は、平成が終わると同時に三十路に突入するという、なんとも(自分だけが)感慨深いタイミングだなと思っています。

 「アラサー」なんて言葉もあったりして、ちょっと敬遠されがちな30歳。20代はできることが増え、自由を手に入れられる希望に溢れた10年でしたが、果たして30代は?
 成熟した女性に変化する節目として、大人っぽく見られるよう、ちょっと上質なものを身につけるべき?そう思ってワードローブを一新したい衝動に駆られますが、そんなにいっぺんに変えられる資金もない(し、そもそも“ワードローブ”と言えるほど立派な服なぞ持ってない)。

 でも周りを見れば、十人十色な30代の先輩がたくさんいます。20代よりも、30代の方がいろんなライフステージの人が混在している世代。大切なのは、周りを見て自分の立ち位置を調整するのではなく、自分が何が好きで、何を愛してこれから生きていきたいのか?ということを見つけること。そしてその愛を、行動にも込めることなのかもしれないなと、最近気がついてきました。与えられるだけでない、自分の中にある「愛」。皆さんはどんな愛を持っていますか?

(筆:Negishi)

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